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競馬の配当が脱税!? 利益が1億400万円というニュースを競馬理論で読み解く

2012/12/07 更新

会社員男性(A氏)が競馬で1億4千万円の利益を上げたニュースが話題になっている。

税金の問題については裁判所が判断することであり、私がコメントする立場ではないので、別の角度からこのニュースを考えてみたい。
このニュースを見ての競馬ファンの最も多い感想が、「競馬で1億4千万も儲かって羨ましい」ということのようである。

そこで、このA氏が本当に楽に競馬で儲かっていて羨ましいかどうかを分析してみたい。

このニュースによると、2007年から2009年までの3年間で28億7千万円の馬券を購入し、30億1000万円の払い戻しを受け、1億4000万円の利益を得ていた。また、経費として認められた的中馬券の購入金額は1億1千万円であった。

この情報から分かることは

回収率
30億1千万円÷28億7千万円×100=104.9%

平均的中倍率
30億1千万円÷1億1千万円=27.4 である。

104.9%を見てあなたはどう感じるだろうか?低いと思う方がほとんどではないだろうか?しかし、この回収率で1億4000万円もの利益を上げていたのである。
そして、平均的中倍率27.4倍で回収率104.9%であったということは、 一つの買い目あたりの的中率は、


104.9%÷27.4倍=3.8% である。

一方、3年間で28億7千万円の馬券を買っていたということから 、1レース当たりの馬券購入金額は


28億7000万÷(中央競馬の年間レース数3400R×3年間)=28万円

である。
(2007年よりも2009年の方が、資金の増加で馬券の購入金額が大きくなっているはずであり、2009年には1レース平均30万円以上の馬券を購入しているはずである。そこで、ここから先は1レース平均30万円の馬券を購入していたと仮定する)

ここからは推測だが、27.4倍の平均的中倍率を考えると、購入点数はどんなに多くても15点程度であろう。
実際の購入方法や1レースあたりの点数の詳細は不明だが、私の予想と簡単に比較可能となるように1R6点を1点5万円で均等購入していたと仮定してみることにする。 そして、この仮定で一般の競馬ファンがA氏と同じ予想を使って、A氏と同じことを実践可能かどうかについて考えてみる。

まず、A氏にとって一番辛いのは連敗して資金がどんどん目減りしていくときであろう。

3.8%の的中率の馬券を買った場合、 前回の当たりから

50回連続で外れる(250万円のマイナスになる)可能性は、
14.4%

100回連続で外れる(500万円のマイナスになる)可能性は、
2.1%

150回連続で外れる(750万円のマイナスになる)可能性は、
0.3% である。

ちなみに、これを多いと見るか少ないと見るかは人それぞれの価値観であるが、これを見るとかなりの資金力がないと、途中でパンクしてしまう可能性が高い。

なお、中央競馬の年間レース数は3400Rであることから、一日当たりの平均レース数は

3400R÷104日=32.7R である。

一日あたりの馬券購入点数は
32.7R×6点(先ほどの仮定条件)=196.2点 となる。

すると、一日あたりの平均的中回数は
196.2点×3.8%=7.5

1年間あたりの平均的中回数は

7.5×104=780 となる。

つまり、1年間に780回も試行回数があれば、0.3%の可能性である150回連続で外れて750万円マイナスになるという厳しい事態が年に1度や2度発生する可能性が高い。

また、連続で外れる期間が長い時には1度当たったところで、今までのマイナスをすべて取り戻せる訳ではなく、こういった連続で外れる期間が数回連続する深刻な不調期もあり得る。 更にいうと、私自身もそうだが馬場などが読めて予想が好調なときには好結果が出る一方で、連敗を喫すような不調期は、的中率も回収率も平均を下回る。

よって、これらのことを総合的に考えると、A氏も、直近のピーク時の資産から、数千万円程度マイナスになったことを何度か経験しているはずである。

そのため、殆どの競馬ファンは、A氏と同じ予想で投資をしても、資金的にのりきれないことが分かる。 また、A氏がこのような不調期を乗り越えられたのは、資金力も大きいが、長期のスパンで見れば絶対に競馬で負けないという自分の予想に対する絶対的な信念からくる強い精神力である。

多くの競馬ファンは、連敗が続いて資金が数千万円レベルでマイナスになると、予想に自信がなくなったり今までのマイナス分をいっぺんに取り戻そうとして馬券の購入ルールを破ってしまい、トータルとしては更に厳しい結果になってしまうであろう。

そういった意味では、競馬で儲けるためには資金力以上に、儲かる馬券の買い方を守り続ける精神力が重要である。

とはいっても、まずは儲かる馬券の買い方を見つける必要がある。

多くの競馬ファンは、儲かる予想を自分でできるように又は入手できるようにと様々な方法を試している。

ただしこの時に、競馬は25%を控除された後の75%を取り合うゲームであり、儲かる予想をできるようになるには相当の努力が必要であることを忘れてはならない。

競馬ファンが当たり前だと思っている25%の控除がいかに大きいものかを分かる例を説明しよう。
ある競馬場で、一人の資金は100万円で100人の競馬ファンのみが競馬に参加し、前のレースで当たったお金はすべて次のレースに転がさなければならないとする。 そうすると、第1レース終了後には100人の資金の合計金額は1億円のうち25%控除されて7500万になっている。

衝撃的なのは12R終了後にいくら残っているかだ。実は、1億円がたったの317万円になってしまうのだ。これを見ると、いかに25%の控除は大きく競馬で儲けるのは難しいかがわかるだろう。

このようにお金を儲けることが非常に難しい競馬で1円でもプラスになるレベルの予想を出来る人は、1%どころか1000人に一人もいないだろう。 しかしながら、本当に極々僅かだが、予想方法のアプローチは違えど、A氏や私のようにプラスになる競馬予想をできる人も存在する。

ところで、A氏の脱税事件で一番喜んでいるのは詐欺予想業者かもしれない

なぜなら、多くの競馬ファンに競馬で儲けることは可能という印象を与えたからだ。

しかしながら、実際に競馬で儲けていることを証明したA氏の予想は回収率104%である一方、詐欺予想業者が謳う回収率は300%だったり500%だったり、酷いものになると出来レースで100%的中を保証するといった内容である。

本当に儲かる予想についてはそれぞれの競馬ファンご自身で判断頂くしかないが、

競馬の予想会社の99%以上は詐欺業者であること、実際に1億4000万円もの利益を上げていたのは回収率が104%の予想であったことだけは忘れないで欲しい。

なお、以下は詐欺業者の特徴である。(一つでも当てはまれば絶対に詐欺業者というわけではないが、詐欺の可能性が極めて高いのでご注意頂きたい。)

・関係者情報を謳い文句にしている
・競馬の元騎手・元調教師を使っている
・回収率が200%以上
・クチコミ・ランキングサイトで上位評価
・的中実績では毎週のように万馬券が当たっている
・特別コースなどがありコースによって提供している予想が違う
・入会後に別のコースを勧められる
・一日の予想提供レース数が少ない
・予想の根拠がどこにも示されていない
・予想の値段が高すぎる(1日あたり5千円以上、1Rあたり500円以上)
・「絶対」という言葉を使っている
・出来レースを謳い文句にしている
・サイトに来たユーザをとりあえず無料予想で登録させようとする
・無料予想だということで入会したはずなのに有料予想を勧誘してくる
・無料予想登録後、毎日のように大量の勧誘メールを送ってくる
・予想の値段がすぐにわからない
・予想の値段がレースごとのポイント消化性で値段がレースごとに違う
・数百万・数千万単位で儲かるような記載がある
・電話で勧誘してくる
・会社情報が掲載されていない又は画像で作られている
・会社情報に掲載されている住所が実在しない
・返金保証をしている
・JRAに悪質競馬予想会社として公開されている

ここまで述べたように、競馬ファンの99%以上は、儲けられるレベルの精度の高い予想ができない又は入手できないから儲からないのだが、

仮に儲けられる予想が入手できたとしても儲からない。それは、回収率の考え方が大きく違うからだ。

多くの競馬ファンが望むのは、回収率130%というと、毎日とはいわなくても、毎月130%と安定していることを望む。 しかしながら実際は、70%の月があったり、150%の月があったりして、年間トータルで回収率が130%になるのである。

先ほど分析したように、A氏も資金の激しい増減があって最終的に3年間トータルで104%になったのである。 実際に毎月回収率130%を確実に維持できるとしたら、複利効果で、1年後には資金が23.3倍に、3年後には資金が1万2646倍に、5年後には686万4337倍と瞬間で億万長者になれる。 そんなことはあり得るわけない。

私のすべての予想から高配当の組み合わせだけを購入する方法の回収率は、詐欺業者の自称の回収率から見ると脚元にも及ばないが、A氏よりも数十%以上高い。

なので、ある程度のスパンで更新(継続)して頂いている有料会員様にはご満足を頂いているが、当たらない期間に入会された有料会員様には不満が残っているはずである。 また、長期の有料会員様も、資金や精神的な問題はあるが、論理的にはA氏より儲けることが可能なわけである。
しかしながら、私の長期の有料会員様でもA氏ほど儲けている方はいないはずであろう。

投資金額の違いで片付けるのは簡単だがそれでは進歩がないので、A氏の投資方法の方が優れている部分も分析してみる。

記事によると、A氏は2004年ころ100万円の資金から始め、2009年までの6年間で1億4000万円に増やしたようである。

つまり、A氏の104%という回収率は、一日単位ではバラつきがあるだろうが、少なくとも月単位でそれなりの近い値に収束しているから可能となった。

具体的に計算してみよう。
私の予想の場合、私のすべての予想から50倍以上の馬券のみをピックアップする買い方(マスター推奨方法)を守れば、

一日あたりの買い目の平均点数は15点程度 である。

一方、A氏は、先ほどの6点買いの仮定を使うと、


6点×32.7R=196.2点  もの馬券を購入している。

つまり、A氏は、私よりも

196.2÷15点=13.1倍  もの点数の馬券を購入している。

更に、マスター推奨方法の馬券の購入の場合の平均的中倍率70倍とA氏の平均的中倍率27.4倍とを比較すると、同じ点数を購入して同じ回収率であれば、70倍÷27.4倍=2.55倍だけA氏が的中していることになる。

つまり、A氏は、マスター推奨方法よりも、
13.1倍×2.55倍=33.4倍 
も的中回数が多いのだ。


これだけ的中回数が多ければ、当然、回収率が安定するスパンも33.4倍だけ短くなる。

つまり、マスター推奨方法では1年単位である程度の値に収束する回収率を、A氏は数週単位~1ヶ月というレベルで収束させているのだ。

そこで、マスター購入方法の改善についても考えてみる。

私の予想は、人気にかかわらず、一番当たりそうな馬連を6点予想している。
なので、この馬連6点は、私の分析では一番的中しそうな組み合わせであるが、オッズは2倍の場合も50倍の場合も500倍の場合もある。

そこで、私が一番当たると思った組み合わせで的中する確率がそんなに変わらない馬券なのだから、倍率の高い馬券のみをピックアップして買えば回収率が高くなるという考えから、私のすべての予想のうちから自分で決めた倍率(基準倍率 例えば50倍)以上の馬券のみをいつも同じ金額で買うという購入方法をオススメしている。

過去の予想の統計からもこの基準倍率をあげれば上げるほど、実際に回収率が高くなっており、できるだけ基準倍率をあげて回収率を高める方法をオススメしていた。 これは回収率を上げることだけにこだわりすぎていたとも言える。

しかしながら、今回のA氏の脱税事件を契機に色々と考えてみると、有料会員様ごとの投資スタイルに応じて基準倍率を決めていただくのがいいという結論に達した。


私の予想のすべての買い目のうち、 70倍以上のオッズの組み合わせの数を1とした場合、

60倍以上のオッズの組み合わせが1.3個
50倍以上のオッズの組み合わせが1.7個
40倍以上のオッズの組み合わせが2.3個
30倍以上のオッズの組み合わせが3.2個
20倍以上のオッズの組み合わせが4.7個

となる。(今年の予想の統計データより)

当然、基準倍率を下げると、このように買い目の数は急速に増えていく。一方で、同じ回収率(例えば130%)を達成するためには、

70倍以上が1.9%
60倍以上は2.2%
50倍以上は2.6%
40倍以上は3.3%
30倍以上は4.3%
20倍以上は6.5%

の的中率が必要となる。

この二つのデータを組み合わせると、同じ回収率であれば、
70倍以上のオッズの組み合わせを買い続けて1回当たる間に、

60倍以上は、1.5回
50倍以上は、2.3回
40倍以上は、4.0回
30倍以上は、7.2回
20倍以上は、16.1回

当たることになる。

つまり、基準倍率を上げれば上げるほど、回収率は高くなるものの、的中のスパンは長くなり、回収率の安定までも時間がかかる。

一方で、基準倍率を下げれば下げるほど、回収率は下がものの、的中のスパンが短くなり、回収率の安定までに要する時間が短くなる。

投資信託などに例えると、価格変動が大きくリスクは大きいが、高リターンを望める商品を選ぶか、価格変動が小さくリスクは小さいが、リターンの少ない商品を選ぶかという選択と同じ決断が必要なのである。

(競馬なので、そもそもかなりの高リスク商品であることだけは忘れないで欲しい)
なお、基準倍率を20倍にしても、過去のデータの統計を見る限り、A氏よりも高い回収率になっておりますので、ご心配なく。

ただし、基準倍率を下げすぎると、急激に回収率が下がってしまうので、20倍以下に設定することはオススメできない。

あくまで、人気と好走する確率の不整合を生じている馬券を買うという大前提は絶対に崩してはならないからである。

基準倍率を20倍まで下げれば、一日の買い目が4.7倍になり、A氏の3分の1ほどになる。 そうすれば、A氏の3倍ほどのスパン(数ヶ月)があれば回収率もある程度の値で収束することになるのだ。 これらのことを参考にして、

お客様自身の予算と精神力にあった投資スタイル(基準倍率)をぜひ見つけて頂きたい。

なお、基準倍率を下げると、上で述べたように買い目が急速に増えていく。そのため、一点当たりの購入金額の調整も必要なことは忘れずに。

最後に繰り返しとなるが、競馬で儲けるのはほぼ不可能であり、仮に儲かる予想を手に入れたとしても、それなりの資金力及び精神力が必要であることを忘れないで頂きたい。 それには一にも二にも

馬券は、失くなっても困らない余裕資金で購入することが重要である。


余裕資金で馬券を買わないと、精神衛生上よくないため、馬券を冷静にルール通り買い続けることが難しくなるからである。

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